厚木市の「あおき動物病院」は、犬や猫の尿結石、腎臓病や膀胱腫瘍、会陰ヘルニアなどに力を入れています。
近年、獣医療も進歩し以前と比べ様々な検査、治療ができるようになってきました。
当院では開業時より特に腹部外科と腎泌尿器疾患に力を入れて診療を行っています。どんな検査でどこまで診断ができるの?どんな病気があるの?という疑問もあると思いますので、当院で実施している病気の治療や検査も含めてご説明いたします。
Bladder stone
「膀胱結石」は犬や猫ではよくみられる泌尿器疾患の一つです。「トイレに何度もいっているのにおしっこが出てない」「おしっこが赤い」「少ししか出ていない」という症状に飼い主様が気付き来院されるケースが多くなります。
膀胱結石は、基本的には尿検査、レントゲン検査、超音波検査で診断がつきます。(写真は検査により診断し、外科的に摘出した膀胱結石です。)
治療法は、内科療法による食餌療法もありますが、大きな結石が形成されている場合は基本的には外科手術での摘出が必要となります。膀胱内に長期にわたり結石があると、炎症により膀胱の本来の貯尿機能が失われる恐れもあります。
また、結石には腎臓結石、尿管結石、尿道結石もあり、尿路がふさがれてしまうと生命の危機になることもあるため、注意が必要です。
治療後は一般的には予後良好ですが、再発を繰り返すこともあり、動物病院と相談したうえで定期的検査をしていく必要となります。
Tumor
犬では頻繁に遭遇する腫瘍ではありませんが、膀胱・尿道にできる腫瘍として移行上皮癌、前立腺癌という悪性腫瘍があります。
初期症状としては「血尿」「頻尿」といったものなので、膀胱炎症状と似ていますが、ひどくなると「排尿痛」「排尿困難」「鮮血が多量に尿に混じる」といった症状がでてきます。
この腫瘍は、尿路をふさいでしまったり(おしっこが出せなくなってしまいます)、転移をしたりするので非常に悪い癌になり、完治は非常に難しいです。(写真は造影検査を行った、移行上皮癌の例です。)
難しい疾患ですが、早期発見、膀胱のどこにできているか、尿道だけにできているかといったことをしっかり診断することで、根治はできなくとも外科治療や内科治療で生活の質を向上してあげることも可能です。
特に、「なかなか治らない膀胱炎症状」といったことがあれば、一度しっかりと検査を受けることをお勧めします。
ちなみに猫でも移行上皮癌はありますが、犬よりも稀です。
Urine examination
まず尿検査で何がわかるの?という事についてです。
よく飼い主さんが検査をされるのは血尿、頻尿や尿中に結晶が出ているといった理由になると思います。当然、そういったことも知ることができますがそれ以外にも尿比重、尿中蛋白といったものを調べることもでき腎臓機能低下の早期診断の一つにもなります。ただし、尿だけですべての診断が出るわけではないので、総合的に診ていくのが大切です。
検査のための採尿についてですが、3通りの採尿方法があります。
これが採尿としては一番簡単(?)だと思います。排尿時にきれいな容器に取ればいいわけです。ただし、
といったことがあります。
動物病院でよく行われる採尿方法だと思います。体格に合わせて導尿用のカテーテルを用意し、尿道口から挿入し採尿する方法です。雄であれば比較的簡単ですが、雌だと導尿が大変な時もあります。その子の性格や押さえ方など色々な理由から、本人が嫌がることもありますが、安全に採尿できる一つの方法です。
こちらも院内で行う採尿方法です。ちなみに当院は基本的にはこの方法での採尿が一番多いです。
この方法はワンちゃん、ネコちゃんを仰向けにしてもらい、膀胱に注射用針で穿刺し採尿する方法です。膀胱の位置、貯尿については超音波検査機器にてかんたんに確認できます。ちょっと話だけ聞くと”えっ、おなかに針刺すの?”と思うかもしれませんが、安全に膀胱内の尿を無菌的に採材することができます。
また必然的に新鮮な尿になりますので、結晶の有無、正確な尿ph、膀胱内での出血の有無といったことを知ることができますので、得られる情報は3つの方法に中では一番信頼できると思います。
Inspection
「尿路系造影検査」というのは聞きなれない検査方法と思われますが、レントゲンに写る尿路用造影剤を利用した検査です。消化器で行うバリウム造影検査の泌尿器版といったとこでしょうか。泌尿器疾患が疑われる患者さんにおいて、どこに問題があるか、もしくはどこに問題がありそうかで検査を行っていきます。
検査方法は血管確保をさせてもらい、造影剤を一定時間で静脈から注射します。正常な腎機能であれば5分もすれば、写真のように腎臓→尿管→膀胱といった尿路の流れを確認できます。
この検査を行うことで左右の腎機能が正常に働いているか、尿管結石等の閉塞の有無、そして膀胱腫瘍が疑われる際の膀胱内の病状の確認といったことが評価できます。
ただしこの検査方法を実施する際は、基本的には腎機能が正常であることが条件になります。
この検査は尿道からカテーテル(やわらかいチューブみたいのものです)を挿入し、造影剤を入れていく方法になります。尿道結石に、尿道腫瘍、そして前立腺疾患といったものが疑われる際に実施します。
写真は尿道に結石が詰まってしまったケースですが、レントゲン写真のように性状や大きさで写りにくい結石がきれいに黒く抜けて確認できます。
もちろん、なんでもかんでもこの検査をしていくわけではありませんし、他の検査も行ったうえで必要があれば実施する検査です。ただこのような検査を合わせて実施することでより病状が把握できるので、内科療法でも外科療法のどちらにおいても必要であれば当院では実施している検査方法です。
ちなみに基本的に鎮静や麻酔は行わずにできる検査です。